Anthropicとトランプ政権が関係修復へ始動

ホワイトハウスとの会談

AmodeiがWiles首席補佐官らと会談
サイバーセキュリティやAI安全で協力協議
国防総省以外の全省庁が利用に前向き

対立の背景と経緯

自律型兵器への安全策維持を主張し交渉決裂
国防総省がサプライチェーンリスクに指定
Anthropic訴訟で指定に異議申し立て

業界への波及

OpenAIは国防総省と即座に契約締結
財務長官が銀行にMythos試用を推奨

AnthropicのCEO、Dario Amodei氏が2026年4月17日、ホワイトハウスのSusie Wiles首席補佐官およびScott Bessent財務長官と会談しました。ホワイトハウスはこれを「生産的で建設的な初顔合わせ」と表現し、サイバーセキュリティやAI競争力、AI安全性などの共通課題について議論したと発表しています。

今回の会談に先立ち、Bessent財務長官やパウエルFRB議長が大手銀行トップに対し、Anthropicの最新モデルMythosのテストを推奨していたことが報じられていました。共同創業者Jack Clark氏も政権へのブリーフィングを実施したことを認め、国防総省との係争は「狭い契約上の紛争」にすぎないとの立場を示しています。

両者の対立の発端は、国防総省によるAnthropicのAIモデルの軍事利用交渉です。Anthropic完全自律型兵器や大規模国内監視への利用に安全策を求めたところ、国防総省は同社を通常は外国敵対勢力に適用する「サプライチェーンリスク」に指定しました。Anthropicはこの指定を不当として法廷で争っています。

政権内部では国防総省を除く「すべての省庁」がAnthropicの技術利用を望んでいると、Axiosが政権関係者の発言を報じています。一方、OpenAIは国防総省との軍事契約を迅速に締結しましたが、これに対する消費者の反発でAnthropicClaudeアプリがApp Storeで2位に急浮上する現象も起きました。

Anthropicは「今後も議論を継続することを楽しみにしている」と声明を出しており、政権との協力関係の再構築に向けた対話が本格化する見通しです。AI企業と政府の関係が安全保障と技術革新の両立をめぐり複雑化する中、今回の会談は重要な転換点となる可能性があります。

アプリ新規公開が前年比6割増、AI開発ツールが背景に

新規公開数が急増

2026年Q1の新規公開数が前年比60%増
iOS単体では前年比80%増を記録
4月は両ストア合計で前年比104%増
生産性アプリがトップ5に浮上

AIが参入障壁を低下

Claude CodeReplitが開発を民主化
技術力なしでもアプリ開発が可能に

審査体制への課題

報酬アプリの詐欺的手法を見逃し
偽アプリで950万ドルの被害発生

市場調査会社Appfiguresの分析によると、2026年第1四半期の世界のアプリ新規公開数は、Apple App StoreGoogle Playの合計で前年同期比60%増となりました。iOS App Store単体では80%増に達し、4月に入ってからは両ストア合計で前年比104%増と加速しています。AIがアプリを不要にするという予測に反し、App Storeは活況を呈しています。

この急増の背景には、AIコーディングツールの普及があると見られています。Claude CodeReplitといったツールにより、プログラミングの専門知識がなくてもモバイルアプリを開発できる環境が整いつつあります。Appleのマーケティング担当上級副社長グレッグ・ジョズウィアック氏も、AI時代にApp Storeが衰退するという見方は「大いに誇張されていた」と述べています。

カテゴリ別では、モバイルゲームが依然として最多ですが、生産性アプリが新たにトップ5入りしました。ユーティリティアプリが2位に、ライフスタイルアプリが3位に浮上し、実用的なアプリの増加が目立ちます。健康・フィットネス系アプリもトップ5を構成しており、AIツールの使いやすさが臨界点に達した可能性が指摘されています。

一方で、新規アプリの急増はAppleの審査体制に課題を突きつけています。報酬アプリFreecashがルール違反のまま数カ月間トップチャートに掲載され続けた問題や、偽の暗号資産アプリが950万ドルの被害を生んだ事例が発生しました。Appleは2024年に1万7000以上のアプリを削除・拒否していますが、「バイブコーディング」がアプリ公開数をさらに押し上げれば、不正アプリ対策の強化が急務となります。

Cerebras、評価額230億ドルでIPO再申請

IPO再挑戦の背景

2024年のIPO申請は連邦審査で延期
2025年に11億ドルのシリーズG調達
2026年2月に評価額230億ドルで10億ドル調達
5月中旬の上場を計画

大型契約と業績

OpenAIと100億ドル超の提携
2025年売上高5億1000万ドル
純利益2億3780万ドルを計上

AIチップスタートアップCerebras Systemsが、新規株式公開(IPO)を再び申請しました。同社は「AIの訓練と推論のための最速ハードウェア」を開発しており、CEOのAndrew Feldman氏が率いています。2024年にも上場申請を行いましたが、アブダビ拠点のG42からの投資に対する連邦審査の影響で延期され、最終的に撤回されていました。今回は評価額230億ドルでの再挑戦となります。

同社は近年、大型の資金調達と事業提携を相次いで実現しています。2025年9月に11億ドルのシリーズGを完了し、2026年2月には10億ドルのシリーズHを調達しました。さらにAmazon Web Servicesデータセンターでのチップ採用契約を締結し、OpenAIとは100億ドル超とされる大型提携も発表しています。

業績面では、2025年の売上高が5億1000万ドルに達し、純利益は2億3780万ドルを計上しました。ただし一時的項目を除いた非GAAPベースでは7570万ドルの純損失となっています。Feldman氏はウォール・ストリート・ジャーナルの取材に対し、「NvidiaからOpenAIの高速推論ビジネスを奪った」と自信を示しています。

IPOでの調達額は未公表ですが、上場は5月中旬を予定しています。AI半導体市場の急拡大を背景に、Cerebrasの上場はAIインフラ企業への投資家の関心を測る重要な試金石となりそうです。

DRAM不足、AI需要で2030年まで長期化の恐れ

深刻な供給不足の実態

2027年末でも需要の60%しか供給できず
SK Group会長は2030年まで不足継続を予測
年12%の増産が必要だが計画は7.5%のみ

HBM優先が消費者を直撃

新工場はAI向けHBM生産に集中
2026年の増産はSK Hynixの1工場のみ
スマホ・PC・VR・携帯ゲーム機が値上げ済み

メーカー各社の対応状況

Samsung・SK Hynix・Micronが新工場建設中
稼働開始は2027〜2028年以降

世界的なDRAM不足が深刻化しています。日経アジアの報道によると、メモリメーカーが増産を進めても、2027年末時点で需要の60%しか満たせない見通しです。SK Groupの崔泰源会長はさらに厳しい見方を示し、不足は2030年まで続く可能性があると発言しました。

供給不足の根本原因は、AI需要の急増にあります。世界最大のメモリメーカーであるSamsung、SK Hynix、Micronの3社は新たな製造施設の建設を進めていますが、いずれも稼働開始は2027年から2028年以降です。2026年に増産が実現するのは、SK Hynixが2月に韓国・清州で稼働させた1工場のみにとどまります。

需要を満たすには2026年と2027年にそれぞれ年12%の生産増が必要とされますが、Counterpoint Researchによると実際に計画されている増産幅は7.5%にすぎません。計画と需要の間に大きなギャップが存在しています。

さらに問題を複雑にしているのが、新工場の生産品目です。各社はAIデータセンター向けの高帯域メモリ(HBM)を優先しており、PCやスマートフォンに使われる汎用DRAMの供給改善にどれだけ寄与するかは不透明です。すでにスマートフォン、ノートPC、VRヘッドセット、携帯ゲーム機など幅広い消費者向け製品が値上げされており、影響は広範囲に及んでいます。

Teslaロボタクシー、ダラスとヒューストンに展開

テキサス3都市に拡大

ダラスヒューストンで提供開始
テキサス州内3都市での運行体制に
2025年6月のオースティン開始から約1年で拡大
2026年1月に安全ドライバーなし運行を開始

課題と現状

新2都市では各1台のみ確認
オースティンでは46台が稼働中
開始以来14件の事故を報告
サンフランシスコでは有人ライドサービスも展開

Teslaは2026年4月18日、無人自動運転タクシーサービス「Robotaxi」をダラスヒューストンの2都市に拡大したと発表しました。公式SNSへの投稿では、前席に人間のドライバーや監視員がいない状態で走行するTesla車両の映像が公開されています。これにより、同社のロボタクシーサービスはテキサス州内3都市での展開となります。

Teslaは2025年6月にオースティンでロボタクシーサービスを開始し、2026年1月からは安全ドライバーなしでの運行に移行していました。ただし、オースティンでのサービス開始以降、14件の衝突事故が報告されており、安全性への懸念も残っています。

新たに展開した2都市では、まだ本格的な規模には達していない模様です。クラウドソースの追跡サイト「Robotaxi Tracker」によると、ダラスとヒューストンではそれぞれ1台の車両しか確認されておらず、46台が稼働するオースティンとは大きな差があります。

一方、Teslaはサンフランシスコ・ベイエリアでも人間のドライバー付きのライドサービスを提供しています。完全無人のロボタクシーと有人サービスの二段階戦略で、自動運転配車市場への本格参入を進めている形です。今後、他の州への展開や車両数の増加が注目されます。

AIで回路設計のSchematikが460万ドル調達

Schematikの仕組み

自然言語で電子機器を設計
部品リストと購入先を自動提案
組み立て手順もAIが案内

Anthropicの動き

Bluetooth APIを公開
Claudeと連携するデバイス開発を支援
メイカー発の作品に触発

ハードウェアへのAI波及

ソフトに比べ10年遅れの領域
iFixit CEOも方向性を支持

アムステルダム在住のSamuel Beek氏が開発した「Schematik」は、ソフトウェア開発ツールCursorハードウェア版を目指すAIサービスです。作りたいデバイスを自然言語で伝えると、必要な部品リストと購入先リンク、組み立て手順までをAIが一括で提示します。2026年2月にXで公開すると大きな反響を呼び、Lightspeed Venture Partnersから460万ドルの資金調達に成功しました。

Beek氏自身はハードウェア専門家ではなく、ChatGPTの指示で電動ドアオープナーを自作した際に家中のヒューズを飛ばした経験が開発の原点です。この失敗から「物理法則を正しく理解するAI」の必要性を痛感し、AnthropicClaudeをベースにSchematikを構築しました。現在は3〜5ボルトの低電圧設計に限定し、安全性を最優先にしています。

注目すべきはAnthropic側の動きです。同社エンジニアのFelix Rieseberg氏は、ハードウェアデバイスがClaudeと連携できるBluetooth APIを発表しました。併せて公開されたサンプルデバイスは、Schematikユーザーが制作したClaude管理用ペットロボット「Clawy」と酷似しており、メイカーコミュニティとAnthropicの接近が鮮明です。

iFixitのCEO、Kyle Wiens氏もSchematikの方向性を支持しています。電子設計では膨大なSKUの中から互換性のある部品を選定する複雑さがあり、「この規模の問題はまさにAIが得意とする領域だ」と指摘します。ソフトウェア分野がこの5年で劇的に効率化した一方、ハードウェア設計は10〜20年間ほぼ変わっておらず、Beek氏はAI活用ハードウェア開発の民主化を目指すとしています。

EU年齢確認アプリ、公開2分でハッキング被害

EU年齢確認アプリの脆弱性

公開直後に重大な脆弱性発覚
PINの保存方式に根本的欠陥
プロフィール乗っ取りが容易に
大規模情報漏洩の危険性を専門家が警告

相次ぐ大規模データ漏洩

Basic-Fitで約100万人の銀行情報流出
Booking.comで顧客データへの不正アクセス

サイバー攻撃と新たな脅威

BlueskyにDDoS攻撃、断続的な障害
ロシア暗号資産取引所から13億円超流出

欧州委員会が4月16日に公開した無料の年齢確認アプリに、公開からわずか2分で重大なセキュリティ上の欠陥が見つかりました。セキュリティコンサルタントのPaul Moore氏がX上で報告したもので、アプリがユーザー作成のPINを安全でない方法で保存しており、攻撃者がプロフィールを容易に乗っ取れる状態だったことが判明しています。ホワイトハッカーのBaptiste Robert氏もこの脆弱性を確認しました。

同じ週には大規模なデータ漏洩が相次ぎました。欧州最大のジムチェーンBasic-Fitでは約100万人の銀行口座情報を含む個人データが流出し、オランダだけで約20万人が被害を受けています。同日、旅行予約大手のBooking.comも氏名やメールアドレス、電話番号、予約情報などへの不正アクセスを確認しました。

分散型SNSのBlueskyは4月15日から大規模なDDoS攻撃を受け、フィードや通知、検索機能に断続的な障害が発生しました。ユーザーデータへの不正アクセスは確認されていませんが、ATプロトコル上の独立インスタンスは影響を免れており、分散型アーキテクチャの利点が改めて注目されています。

ロシアの暗号資産取引所Grinexは、10億ルーブル(約1300万ドル)超のユーザー資金がハッキングにより盗まれたと発表し、運営を停止しました。Grinexは制裁回避を支援したとして米当局から制裁を受けた取引所Garantexの後継とされています。同取引所は外国の情報機関による攻撃だと主張していますが、公的な証拠は示していません

サイバーセキュリティ分野ではAI競争も激化しています。AnthropicMythosモデルのセキュリティリスクを公表したのに続き、OpenAIもサイバーセキュリティ特化型のGPT-5.4-Cyberを発表しました。セキュリティの脅威が高度化する中、AI企業がサイバー防御領域での主導権争いを本格化させています。