IEEE、AIで電力網を近代化する技術者育成講座を開講
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米電気電子学会(IEEE)の教育部門と電力エネルギー部会が、送電網の近代化を担う技術者向けの講座「AI for Power and Energy Systems」を開講しました。データセンターの急増と異常気象で米国の電力網が限界に近づくなか、AIを扱える人材の不足が壁になっているためです。講座は電力技術者や電力会社の管理職、データサイエンティストを対象に、五つのモジュールで構成されます。
背景にあるのは、需要と供給の両面で起きた構造変化です。テキサス州最大の送電事業者には、AIとクラウド設備の増加を主因に220ギガワットもの新規接続申請が寄せられたとCNBCは報じています。一方の発電側では風力や太陽光など天候に左右される電源が増え、停電を避けるために需給を秒単位で調整せざるを得ません。
設備そのものの弱さも重なります。テキサス州を襲った大寒波や記録的な熱波は変圧器に過大な負荷をかけ、高くつく障害を招いてきました。アナログ機器をスマートメーターや制御システムへ置き換える動きは、同時にサイバー攻撃の入口を増やしています。
こうした環境では、従来の系統計画の手法は速度が足りません。数千のセンサーや気象予報、過去の使用実績を機械学習で即座に解析すれば、障害の予兆を先回りしてつかめます。マッキンゼーの調査では、データと自動化の統合によって予知保全で設備の停止時間を最大50%削減し、機器の寿命を最大40%延ばせると示されました。
講座を設計したのは、テネシー大学ノックスビル校のFangxing(Fran)Li教授です。カリキュラムはAIを検証できないブラックボックスとして扱わず、安全性と設備保全、厳格な信頼性基準を軸に据えています。内容はAIの基礎、深層強化学習による系統制御の高速化、需要と市場価格の予測、物理法則を組み込んだ安全なAI、生成AIと次世代技術の五つです。
電力を大量に使う側であるAI業界にとっても、この人材論は他人事ではありません。電力網の余力が事業拡大の制約になりつつある今、電気を理解するデータサイエンティストと、データを扱える電力技術者をどう確保するかが問われています。