YouTubeのAI表示ルール、脚本や音声の生成は対象外

動画音声音楽YouTube

開示ルールの線引き

対象は写実的な生成・改変
AI音楽は写実的でなくても対象
空想世界の映像は開示不要

対象外となるAI利用

企画立案と制作補助全般
台本・サムネ・タイトル生成
本人音声クローン利用

見えない影響

30分の世論誘導動画も無表示
情報源や論点構成の偏り
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米テック媒体Ars Technicaは8月5日、YouTube動画制作者に課すAI開示ルールが、実際のAI利用の大半を捕捉できていないと指摘しました。同ルールは写実的な映像や音声を生成・改変した場合に表示を求める一方、企画立案から調査、台本執筆、本人音声のクローンまでを含む制作過程のAI利用は対象外です。動画の骨格がAIで組み立てられていても、視聴者には何も知らされない構図になっています。

線引きは直感に反します。写実的ではないAI生成の音楽は開示が必要な一方、空想の世界でユニコーンに乗る映像は、写実的に見えても開示が要りません。全編AIで作った10秒の冒険動画は無表示で済み、そこにAI作曲のバラードを重ねた瞬間に表示義務が生じます。

開示不要とされる範囲は広く、アイデア出しから制作補助までが含まれます。台本や動画構成、サムネイル、タイトル、図解の生成に加え、制作者が自分の声をクローンしてナレーションに使うことも、全編アニメの中でミサイルの動きをAIで作ることも、申告は不要とされています。

影響が大きくなるのは、主張を伴う長尺動画です。地政学をテーマにした30分の動画で、AIが前提を立て、調査し、構成を書き、AIクローン音声がAIの草稿を読み上げたとしても、現行ルールでは開示義務が生じません。人の意見を動かす動画ほど、ラベルの空白が効いてくるのです。

記事が問うのは、完成品が「AI生成」に見えるかどうかではなく、AIが介在した過程が作品の論理と手触りを決めてしまう点です。人間だけで作れば、たどり着く資料も、重要と判断する論点も、脱線や冗談の入り方も、読み上げの自然さも変わります。表示ラベルは、その差を映しません。