コーネル大が光でメモリ書き換え、AIチップを省電力化
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米コーネル大の研究チームが、光を使ってAIチップのメモリを直接書き換える新しい受信素子を開発しました。ポスドク研究員のYifan He氏と准教授のJae-sun Seo氏が手がけたこの技術は、QRコードのような光の配列をチップに照射し、その光電流でメモリの値を反転させる仕組みです。AIモデルの膨大なパラメータを扱う際の消費電力を抑える狙いで、先月開かれたVLSI技術・回路シンポジウムで発表されました。
背景には、AIチップのメモリ不足という課題があります。プロセッサ内蔵のSRAMだけではAIモデルを動かしきれず、不足分はDRAMに保存されますが、両者を結ぶ電気配線が大規模化に伴うコストと効率のボトルネックになっていました。従来の光通信も、光を電子信号に変換する際に消費電力の大きいアナログ回路を必要とし、光の利点を打ち消していました。
新方式では、送信側にDRAMを置き、プロセッサのSRAM側に受信素子を組み込みます。各SRAMセルにはフォトダイオードが埋め込まれ、当たった光が電流を生んで二進数の値を反転させることで、アナログ回路を介さない完全デジタルの光通信を実現します。送受信の位置ずれは校正回路で補正するため、多少傾いていても動作するといいます。
研究チームは、データセンターや自動運転車に加え、ロボットなどのエッジ用途への応用を見込んでいます。特にAIロボットが稼働する倉庫や工場では、各機体のAIモデルを更新する際に光通信を使えば時間とエネルギーを節約できると説明します。メモリ制約の厳しいマイクロロボットへの活用も視野に入れています。
ただし実用化には課題も残ります。現在の送信機は14×14ビットの静止画像を映すだけの試作段階で、毎秒数百万回・ギガビット級で光を切り替える高速版の開発が欠かせません。研究に関与していないミシガン大のDennis Sylvester氏は「商業的な影響は大きい」と評価する一方、光を受けるビットセルが従来より大きいため集積度が下がり、省電力の利点を相殺しかねないと指摘します。