Ford、自動化の誤り修正へベテラン技術者350人を再雇用

AI過信の代償

AIが品質低下を誘発
ベテラン350人を再雇用・昇格
暗黙知の継承不足が露呈

予防型品質への転換

JD Power初期品質で16年ぶり首位
事後修正から未然防止
専任の品質保証40人を新設
AIテスト10万件超を追加
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自動車大手のFordは2026年6月、生産・設計を任せた自動化システムが想定ほど堅牢でなく、誤りを修正するためベテラン技術者350人超を再雇用・昇格させたと明らかにしました。同社はJD Powerの初期品質ランキングで16年ぶりに主流自動車メーカー首位となり、その達成を機に近年の苦境を公表した形です。

車両ハードウェア技術担当VPのCharles Poon氏は「AIを導入して設計要件を調整すれば高品質な製品ができると誤って考えていた」と振り返りました。AIの効果は学習データの質に大きく左右されるうえ、複数の開発サイクルを経たベテラン技術者の組織的な知見の価値を過小評価していたといいます。一部の熟練人材が知識を十分に移管しないまま離職したことも、品質低下に拍車をかけました。

再雇用した技術者は若手の指導に加え、自動化システムを支えるデータ収集とAI学習の改善も担います。COOのKumar Galhotra氏は、部門が縦割りで欠陥を見つけて直す「find and fix」に頼りすぎていたと総括しました。今後は「問題を眺めるのをやめ、発生前に防ぐ」予防型の品質管理へ移行するとしています。

一方でFordはAI活用を後退させるわけではありません。ソフトとハードの開発を統合し、エッジケースを洗い出すAI駆動の自動テストを10万件超追加したほか、問題の未然防止に専念する40人のソフト品質保証チームを新設しました。安全が最優先となる自動車では、消費者向け機器のような「速く動いて後で直す」発想は通用しないとの認識を示しています。