格安航空Norse、AI接客が詐欺の温床に

AI偏重の落とし穴

有人窓口をAI偏重で縮小
電話番号を非掲載のまま運用
FTCへ約75件の苦情集中
格安運賃と低品質接客が両立せず

詐欺被害の実態

検索結果に偽番号が表示
別会社装う電話で情報詐取
1000ドル超の被害が21件
高齢顧客が標的に
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米メディアWIREDは6月1日、格安航空会社Norse Atlantic Airwaysが顧客対応をAIエージェントに大きく依存した結果、連絡手段を失った利用者が詐欺被害に遭っていると報じました。記者自身も940ドルの便を欠航され、返金ページが開かず電話窓口もない状況に直面しました。米連邦取引委員会(FTC)には約75件の詳細な苦情が寄せられていました。

同社は2021年設立の「低コスト長距離航空」を掲げ、近年はAI重視の体制に傾斜してきました。チャットボット「Odin」を経て現在はAIエージェント「Freya」を導入し、無人での解決率が2週間で6割から8割へ上昇したとしています。最高顧客責任者はFreyaが「乗客からの問い合わせの99%を管理する」と説明しています。

問題の核心は、人間の担当者に到達できない空白を詐欺師が突いた点にあります。多くの利用者は予約変更のため電話番号をネット検索し、偽のサイトや番号にたどり着きました。FTC苦情のうち18件が、検索後に詐欺被害に遭ったと明言しています。

被害者はクレジットカード情報や社会保障番号まで渡してしまい、直後に高額請求が発生したと訴えています。金額の記載があった41件のうち21件が1000ドル超の損失を報告しました。「72歳と79歳で怖い。助けてほしい」と記した高齢の夫婦もいました。WIREDが検索上位の番号にかけると、無関係の航空連合や実在しない旅行サービスを名乗る男が応対しました。

Norse側は技術投資が「コスト削減と収益の両面で素早く回収できる」と説明してきました。一方で同社は5月に管理部門の人員を35%削減し、売却や合併の可能性も検討中です。元FTC技術責任者は今回の苦情を「特に悪質」と評し、利用者が「詐欺師に銀盤に載せて差し出されている」と指摘しました。

結局、記者が返金を得られたのは幹部に直接メールを送り「人間」とつながった時でした。コスト削減を狙ったAI接客が、かえって顧客の信頼と安全を損なう構図が浮かびます。効率化と顧客保護の両立をどう設計するかが、AI導入を進める企業に重い問いを突きつけています。