Taylor Swift、商標出願でAIなりすましに対抗

商標出願の狙いと内容

音声フレーズ2件の商標出願
ステージ写真も商標登録を申請
著作権では守れない声の保護が目的
McConaugheyも同様の手法を採用

法的実効性と今後の課題

専門家実効性に懐疑的
抑止効果への期待が主な狙い
AI音声模倣の専門法はテネシー州のみ
肖像権や連邦商標法も併用可能
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Taylor Swiftの権利管理会社TAS Rights Managementは先週、米国特許商標庁に対して「Hey, it's Taylor Swift」と「Hey, it's Taylor」という2つの音声フレーズの商標登録を出願しました。さらに、ステージ上でピンクのギターを持つSwiftの写真についても商標出願を行っています。SwiftはこれまでAIディープフェイク音楽の無断模倣に繰り返し直面してきており、今回の動きはAIによるなりすましへの新たな対抗策と見られています。

著作権法はアーティストの楽曲を保護しますが、声そのものは保護の対象外です。AI生成の模倣トラックが増える中、この法的ギャップが問題となっています。Universal Music Groupが過去にAI生成のDrake楽曲に対して著作権侵害の削除要請を行った際も、楽曲内のプロデューサータグを根拠にせざるを得ませんでした。商標権を活用すれば、完全なコピーだけでなく「混同を生じさせるほど類似した」模倣にも法的に対処できる可能性があります。

ただし、法律の専門家からは慎重な見方も出ています。ノースイースタン大学のAlexandra Roberts教授は、Swiftの音声クリップが商標としての使用要件を満たしているか「懐疑的」だと述べています。一般的な音声商標はNBCのチャイムのように単独で使用されるものであり、今回のクリップはアルバム宣伝メッセージの一部に過ぎないためです。一方、UCLAのXiyin Tang教授は、連邦登録番号を示すことで「知識の乏い侵害者を抑止する」効果はあるとの見解を示しています。

現状、AIによるアーティストの声の模倣を明確に規制する法律を持つのはテネシー州だけです。YouTubeディープフェイク検出ツールも、現時点では顔の模倣にしか対応していません。Swiftのチームには、各州のパブリシティ権や連邦商標法による虚偽広告規制など既存の法的手段もあります。しかし、AI音声模倣に対する包括的な法的枠組みがない中、商標法の活用は新たな防衛手段の模索と位置づけられます。今後の米国特許商標庁の審査結果が注目されています。