OpenAIが数学難問の解法発表、研究者は競争懸念
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OpenAIは2026年9月、流体の動きを扱う未解決の「ナビエ・ストークス問題」の解法を、未公開モデルと約1万のAIエージェント、数千万ドル規模の計算資源を使って88時間で得たと発表しました。同じ問題に取り組んでいた数学者らは、同社が研究成果の公表を急ぐ過程で、学術上の功績配分や利用者データの扱い、競合企業との競争を優先したのではないかと訴えています。
ニューヨーク大学のトリスタン・バックマスター教授は、Anthropicの研究者レベント・アルペーゲ氏との共同研究から同氏を外せば、ほぼ無制限の計算資源とOpenAI論文の単独著者になる機会を示されたと説明しました。OpenAI研究者セバスチャン・ブベック氏は資源提供と執筆の打診は認めましたが、脅迫や買収との見方を否定し、アルペーゲ氏のAnthropic所属が社内案件では問題だったと述べています。
バックマスター教授は、自身がCodexへ入力した内容がモデルの成果に影響した可能性を疑っています。OpenAIは直近2カ月のプロンプトがシステムや訓練に影響することは不可能で、個別ユーザーデータへのアクセスもなかったと否定しましたが、数学者側では検証可能な説明を求める声が残ります。
ドレスデン工科大学のアンドレアス・トム教授も、自身らの研究に大きく依存した成果で当初の功績表記が不十分だったと指摘し、ChatGPTとの会話が開発に使われたか確認できないと話しました。AI企業が研究支援ツールの提供者であると同時に競争相手でもあるため、顧客の未発表研究に触れ得る利益相反が核心です。
クレイ数学研究所はナビエ・ストークス問題を未解決リストから外したものの、賞の認定には発表後2年と数学界の一般的承認を求めており、現時点で解決を確定していません。研究者はAI企業による先取りを恐れて未発表成果を共有しにくくなり、若手が難問を避ける研究萎縮を懸念しています。国際数学連合が支持し約3900人が署名したライデン宣言など、独立検証、功績の追跡、データ利用の透明性を求める動きが広がっています。