ザッカーバーグ氏、6500語の宣言で超知能の無償提供を主張

6500語の宣言

8月10日公開、6500語の長文論考
個人向け超知能を数十億人に
無料版とオープンソースの拡大

規制と地域への姿勢

蒸留規制の見直しを米国に要求
海外オープンモデルの制限に反対
2030年までに水資源を回復

割れる受け止め

教育や司法の例に現実味欠くと批判
児童安全訴訟で5.67億ドル命令
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Metaのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者は8月10日、6500語におよぶ論考「The Future is for Everyone」を公開しました。自社が開発するパーソナル超知能を数十億人と中小企業に無料か可能な限り安価に届け、オープンソースモデルの公開も広げると表明したものです。データセンター建設や政府規制のあり方にも踏み込んだ内容になっています。

最も具体的なのは、AIデータセンターへの反発に対する回答です。投資する地域すべてで発電設備を建設し、低コストの電力を地域に還元する方針を示したうえで、2030年までに使用量を上回る水を流域に戻すと約束しました。地域支援の基金「Future Is For Everyone Fund」の創設、技能職への無償訓練と高賃金の雇用保証も掲げています。

規制をめぐっては二つの顔をのぞかせます。モデル間の学習である蒸留やデータ利用に関する米国の政策は見直すべきだとし、海外のオープンモデルへのアクセス制限には反対を表明しました。背景にはAlibabaやMoonshotなど中国勢の公開モデルが学習データ規制の面で優位に立っているという危機感があります。

一方でサイバーセキュリティ分野では、政府の関与を求めています。学習が完了する前の段階から訓練情報を政府に共有し、法執行機関とも協力して悪用者を特定すべきだという提案で、トランプ政権のAI試験枠組みとも歩調を合わせる内容です。自由には規制緩和、安全保障には政府連携という組み合わせが、この宣言の性格をよく表しています。

ただ受け止めは割れています。TechCrunchは、この論考こそ人々がAIを敬遠する理由だと批判し、家庭教師や弁護士をめぐる例が実際の使われ方と乖離していると指摘しました。生成AIは学習を助ける一方で宿題や小論文の代筆にも使われており、確実な電子透かしがない現状では教員が判別できないためです。

根にあるのは信頼の問題です。米国の調査では64%がソーシャルメディアは民主主義に有害だと答え、8月上旬には子どもの安全をめぐる訴訟でMeta5.67億ドルの追加支払い命令が出たばかりでした。危険性を率直に認めるサム・アルトマン氏やダリオ・アモデイ氏の発信と比べ、リスクに触れない語り口はかえって不安を招き、説明責任がいっそう重く問われる局面ではないでしょうか。