気象予測AIのWindBorne、3700万ドル調達で民間開拓

調達の概要

3700万ドルのシリーズB
調達後評価額2億5000万ドル
コースラなど2社が共同主導

独自の観測網

世界20拠点、常時約600機の気球
台風の目まで届くデータ収集
海に落ちてブイ化するセンサー

収益化の行方

売上の柱は政府機関
狙いは商品相場を読む投資ファンド
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気象観測気球のスタートアップ、WindBorne Systemsは8月5日、シリーズBラウンドで3700万ドルを調達したと明らかにしました。ラウンドはKhosla VenturesとGalvanizeが共同主導し、調達後の企業価値は2億5000万ドルとなります。AIによる気象予測の精度向上が実証されるなか、同社はその予測を企業の意思決定に結びつけ、収益事業として成立させることを次の目標に据えます。

2019年設立の同社は、低コストのセンサーと長時間飛行する気球で独自の気象データを集めてきました。現在は世界20カ所の打ち上げ拠点を持ち、常時約600機の気球が台風の目のような観測しにくい領域までカバーします。さらに、海に落下したあとはブイとして測定を続ける航空センサーの投入も始めました。

この「惑星の神経系」と呼ぶ独自データが、予測モデルの参入障壁になっています。過去4年のAI気象モデルの進展で、かつてはスーパーコンピューターが必要だった大気シミュレーションがノートパソコンでも動くようになり、民間企業でも自前の予測が可能になりました。ジョン・ディーンCEOは「気球を加えると予測精度が上がり、1データあたりの価値は衛星より高い」と語ります。

足元の主要顧客は政府機関です。米国気象局がデータを購入し、米空軍と海軍は研究提携を通じて資金を出しています。通信が途切れがちな艦上でも動く予測モデルの開発も、その一環です。

次の焦点は民間市場です。現在は商品価格などを読む投資ファンドが中心で、今回の資金は計算資源と、気球網の衛星通信をメッシュ無線網へ置き換える開発、そして営業体制の拡充に充てられます。ただ、地球観測衛星のようなセンシング事業は、データから価値を引き出す業務知識が壁となり、民間開拓に苦戦してきた歴史があります。

民間の気象会社の多くは、政府予報の再加工や、航空機の除氷・船舶航路といった特定用途で稼いできました。共同主導したGalvanizeのサロニ・ムルターニ氏は「予測が良くなれば手間をかける価値が生まれ、AIが予測と事業判断をつなぐ作業を容易にする」と述べます。精度の向上そのものより、意思決定に組み込めるかどうかが市場拡大の分岐点になりそうです。