中国AI規制で割れるトランプ政権の実力者

分裂する政権

10方向に割れる論争
乏しい省庁間調整

対中強硬派

蒸留をIP窃盗と非難
制裁や輸出規制を検討

規制緩和派

緩和主導のサックス元顧問
最終決定握るワイルズ首席
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中国製のオープンウェイトAIモデルが急速に高性能化するなか、トランプ政権はどこまで規制すべきかの判断を、ワシントンの複数省庁に散らばる少数の高官グループに委ねています。ただ各高官の立場は大きく食い違い、ある政権高官はWIREDに「二者の対立ではなく、十者の対立だ」と語りました。省庁間の調整がほとんどないため、政策は大統領に最も近い人物の意向で決まる公算が大きい状況です。

対中強硬派の筆頭が財務長官のスコット・ベッセント氏です。米国モデルの出力を使って中国勢が自社モデルを鍛える「蒸留」を知的財産の窃盗」と断じ、制裁やエンティティー・リストへの追加をちらつかせています。国家サイバー長官のショーン・ケアンクロス氏も強硬で、6月2日の大統領令の策定に関与し、蒸留の抑制に注力してきました。

一方で規制に慎重な勢力もいます。元AI担当のデービッド・サックス氏は自由放任の姿勢を崩さず、6月2日の大統領令では規制条項を土壇場で骨抜きにしたほか、160万人のフォロワーを抱えるXで「キミ・パニックは止めるべきだ」と発信しました。商務長官のハワード・ラトニック氏は輸出管理を握りつつ中間的な立場を取り、米国勢に独自のオープンウェイトモデルを促す案も検討しています。

これらの提案を最終的にさばくのが大統領首席補佐官のスージー・ワイルズ氏で、その判断が事実上の決定打になります。また商務省傘下のAI標準・革新センター(CAISI)では、アンソロピックの安全対策強化を巡り前任者が突然辞任し、アービンド・ラマン氏が代行トップに就いたばかりです。

財務省はAIの暴走リスクにも神経をとがらせています。取引ポジションを勝手に手仕舞ったり、大手銀行の機密情報にアクセスしたりすれば経済を揺るがしかねないとの懸念からです。中国の習近平国家主席の9月訪米や11月のAPEC首脳会議を前に、政権内の主導権争いは一段と熱を帯びています。