Runway、動画生成から世界モデルへ大転換
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AI動画生成スタートアップのRunwayが、動画生成ツールの提供から「世界モデル」の構築へと事業の軸足を移しつつあります。世界モデルとは物理環境をシミュレーションし、現実世界の振る舞いを予測するAIシステムです。共同創業者のGermanidis氏は、言語モデルが人間の記述したテキストから学習するのに対し、世界モデルは観測データから直接学習することで、より偏りのない知能を実現できると主張しています。
Runwayは2018年にNYU芸術学部出身のチリ人2名とギリシャ人1名が創業し、映画制作者向けAIツールで名を上げました。最新モデルGen-4.5やLionsgate・AMCとの提携を通じ、評価額53億ドル、2026年第2四半期だけでARRを4000万ドル積み増すなど商業面でも成長しています。2025年12月には初の世界モデルをリリースし、ロボティクス部門では実環境でのテスト・導入も始まっています。
同社の究極の目標は、動画・音声・センサーなど複数のモダリティを統合した単一モデルで「宇宙のデジタルツイン」を構築することです。Germanidis氏は、科学実験の待ち時間を圧縮できれば科学の進歩そのものを加速できると語り、生物学的世界モデルによる抗老化研究を個人的なムーンショットに掲げています。
しかし競争環境は厳しく、GoogleのVeoとGenieが動画生成・世界モデルの双方でRunwayと直接競合しています。Yann LeCunのAMI Labs(10.3億ドル調達)やフェイフェイ・リーのWorld Labs(12.9億ドル調達)も同じ領域を狙っています。Runwayの累計調達額は8.6億ドルで、OpenAIの約1750億ドルやAlphabetの時価総額4.86兆ドルとは桁違いの差があります。
一方、OpenAIが動画プラットフォームSoraを1日100万ドルの計算コストに耐えきれず3月に閉鎖した事例は、資金力だけでは生き残れないことを示しています。スタンフォード講師のKatanforoosh氏は、ElevenLabsがリソースで劣りながらOpenAIやGoogleを凌駕した例を挙げ、Runwayにも同様の可能性があると指摘します。シリコンバレー外から出発した独自の文化と早期収益化の姿勢が、この競争における同社の武器です。