AIデータセンター急増、地方の雇用・環境に深刻な課題

地方に押し寄せる建設ラッシュ

計画の67%が地方に集中
雇用創出効果は実質ゼロとの研究
補助金は1雇用あたり200万ドル超

環境規制の抜け穴と訴訟

xAI46基のガスタービンを無許可運転
「移動式」分類で大気汚染規制を回避
NAACPが差止請求を提起

持続可能なAIへの模索

研究者がSustainable AI Group設立
エネルギー消費の透明化を業界に要求
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AIブームを背景に、米国各地でデータセンター建設が加速しています。Pew Research Centerの調査によると、計画中のデータセンターの67%が地方部に立地予定で、39%は既存施設のない郡に建設される見込みです。開発企業は雇用創出を約束して地方自治体を誘致していますが、Ball State大学の研究では、テキサス州254郡を対象にした分析で純雇用創出効果は実質ゼロという結果が出ています。

メイン州では、閉鎖された製紙工場跡地に5億5000万ドル規模のデータセンター計画が持ち上がり、州知事が「125〜150人の雇用創出」を理由にモラトリアム法案を拒否しました。しかし専門家は、ネオクラウド型施設の常勤職は30〜50人程度で、そのうち高度技術職は約1割にすぎないと指摘します。地方自治体には開発企業と対等に交渉する法的専門知識やリソースが不足しており、税収という本来の恩恵さえ税制優遇措置によって失われるリスクがあります。

環境面では、イーロン・マスク氏のxAIがミシシッピ州のデータセンター46基の天然ガスタービンを稼働させていますが、トレーラー搭載の「移動式」扱いにより州の大気汚染規制を免れている状態です。NAACPは住民の健康被害を訴え、連邦法違反として差止請求を裁判所に提出しました。許可を受けているのは15基のみで、残りは規制の抜け穴を利用した無許可運転です。

こうした状況を受け、AIの持続可能性を研究するSasha Luccioni氏は新たにSustainable AI Groupを設立しました。同氏は、企業がAIのエネルギー消費や温室効果ガス排出を可視化し、用途に応じた適切なモデル選択を行うべきだと主張しています。EUではAI法にサステナビリティ条項が盛り込まれ、報告義務が始まっています。「AIを使わないという段階は過ぎた。問題は正しい選択をすることだ」と同氏は語り、再生可能エネルギーによるデータセンター運営が競争優位になり得ると提言しています。