英国がAI新興企業向けに6.75億ドルの政府系ファンドを設立

ファンドの概要

6.75億ドル規模の国家AI基金
国内スタートアップへの投資に特化
スパコン利用権やビザ支援も提供

英国のAI戦略

米国・アジア依存からの脱却が狙い
ニッチ分野での競争力構築を重視
民間VCとの共同投資モデルを採用

初期投資

Callosumへの投資を発表
6社に最大100万GPU時間を付与
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英国政府は2026年4月16日、国内のAIスタートアップ投資するための政府系ベンチャーファンド「Sovereign AI」を正式に立ち上げました。総額約6億7500万ドル(約1000億円)の規模で、モデル開発やエージェントAI、創薬など幅広い分野の新興企業を対象としています。VC大手Balterdon CapitalのJames Wise氏と、Y Combinator出身のJoséphine Kant氏が運営を担います。

同ファンドの特徴は、資金提供にとどまらない包括的な支援体制にあります。投資先の企業は英国が保有するスーパーコンピュータネットワークへのアクセス権を得られるほか、海外人材の採用に必要なビザの無償発給、政府調達への参加機会、専門家による助言などを受けられます。初期投資先として、異なるプロセッサの協調動作を支援するCallosumへの出資が発表されたほか、Prima MenteやCosineなど6社に最大100万GPU時間分の計算資源が提供されます。

この取り組みは、2025年1月に公表された英国AI活用計画「AI Opportunities Action Plan」の一環です。英国にはGoogle DeepMindやARM、Wayveといった有力企業が拠点を構える一方、半導体設計・製造やモデル開発の分野では米国・アジア勢に大きく後れを取っています。政府は「AIの作り手であり、単なる利用者にとどまらない」立場を目指すとしています。

専門家は、英国がAIで完全な自給自足を達成することは現実的ではないと指摘しつつも、特定のニッチ領域で不可欠な存在となる企業を育成する戦略には意義があると評価しています。トニー・ブレア研究所のKeegan McBride氏は「世界は不可逆的に相互依存している中で、最良のポジションをどう築くかが問われている」と述べています。ファンドの規模は大手AI企業の投資額と比べると小さいものの、民間VCとの共同投資者として計算資源などの付加的な支援を提供できる点が強みになると、ロンドンのSeedcamp社は期待を示しています。