独BFL、70人で画像生成AIの世界首位級に迫る
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ドイツの黒い森地方に本社を置く70人のAIスタートアップBlack Forest Labs(BFL)が、画像生成AIの分野でOpenAIやGoogleに次ぐ世界トップ級の競争力を獲得しています。2025年12月には評価額32.5億ドルで資金調達を実施し、AdobeやCanvaといった大手クリエイティブ企業の画像生成機能を支える存在になりました。わずか5000マイル離れたシリコンバレーの巨人たちに、少人数チームで真っ向から挑む構図です。
提携先の顔ぶれも際立っています。同社はMicrosoft、Meta、xAIといった主要AI企業にも技術を供給し、2025年9月にはMetaと総額1.4億ドルの複数年契約を結びました。2024年にはイーロン・マスク氏率いるxAIの画像生成「Grok」を支える形で一躍有名になった一方、安全策の緩さが物議を醸し、提携は数カ月で終了した経緯があります。
近ごろxAIが再度ライセンス供与を打診したものの、BFLは混沌とした社風との協業は運用負荷が高すぎると判断し、今回は断ったと関係者は語ります。競合より資源が限られる同社は、まず粗い下絵を描き、その後に細部を描き込む潜在拡散(latent diffusion)と呼ばれる効率的な手法を磨いてきました。これが少人数でも一線級のモデルを量産できる理由です。
共同創業者アンドレアス・ブラットマン氏はWIREDに対し、「この手法のおかげで、競合の数分の一の資源で非常に強力なモデルを出せた」と語ります。HuggingFace上で最も多くダウンロードされているテキスト画像変換モデルの一角を占めるのも同社の特徴で、市場に出回る多くの画像AIが裏側でBFLの無料版モデルを利用している可能性が高いといいます。
創業者らは米サンフランシスコへの移転ではなく、故郷に近い独フライブルク周辺に本拠を構え続けることを選びました。「注意を引くものが少ない場所であることは、大きな強みになり得る」とブラットマン氏は述べ、集中できる環境こそが急成長の鍵だったと振り返ります。OpenAIがSoraを閉じTBPN買収に走るなど、米勢がフォーカスに苦しむ中での対照的な姿勢です。
BFLの野望は画像生成にとどまりません。同社は年内に、自社AIモデルを搭載したロボットを発表する計画を明らかにしました。スマートグラスやロボット向けに技術提供するハードウェア企業とも協議中とされ、「視覚知性はコンテンツ生成を超えて広がる」とブラットマン氏は強調します。物理世界で行動するフィジカルAIへの進出が、次の競争軸となりそうです。