DeepMind、EVE開発元と新研究提携へ
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グーグル・ディープマインドは8月21日、大型宇宙ゲーム『EVEオンライン』の開発元であるFenris Creationsと新たな研究提携を結んだと発表しました。継続学習や長期記憶、複数エージェントの協調といった、現行のAIモデルが苦手とする能力を、20年以上続く仮想世界で検証する狙いです。同社は2010年の設立以来、ゲームをAI研究の主戦場としてきました。
同社のゲーム研究は2015年、ピクセル画像だけでAtariの49種類のゲームを学習したDQNから始まりました。2016年には囲碁の世界王者を破ったAlphaGoが話題を呼び、2019年にはAlphaStarがStarCraft IIでグランドマスター級の実力を示しました。近年は画面を見て指示を理解し、キーボードとマウスだけでゲームを操作する汎用エージェントSIMAの開発に力を入れており、最新版のSIMA2はGeminiを搭載し、プレイヤーと対話しながらプレイできます。
EVEオンラインは2003年に始まった大型多人数参加型の宇宙シミュレーションで、数千人のプレイヤーが単一の宇宙を20年以上にわたり共有してきました。プレイヤー主導の経済や星系をまたぐ交易網が息づくこの世界は、継続学習や数週間から数年単位の長期計画、多数のエージェントが絡む交渉や競争といった、フロンティアAIに不可欠な能力を試す場として理想的だとディープマインドは説明しています。
提携はEVEオンラインだけでなく、一人称視点で戦術的な判断を求められるEVE Vanguardや、プログラム可能な仕組みでゲームのルール自体が変化しうるEVE Frontierにも及びます。異なる抽象度でエージェントの挙動を研究できる点が特徴です。両社はすでに、初心者向けの質問応答をGeminiで支援する『Auraガイダンス』を提供済みで、実際のプレイヤーに価値を届け始めています。
研究プログラムはまず、実際のプレイヤーから切り離したオフライン環境のEVEオンラインで進め、次にルールが変化するEVE Frontierへと段階的に広げる計画です。能力が十分に成熟したと判断された場合に限り、EVEオンラインやEVE Vanguardといった実際のプレイヤーがいる環境への適用を検討するとしています。
ディープマインドは、囲碁で人間の常識を覆した『Move 37』や、タンパク質構造予測でノーベル化学賞につながったAlphaFoldのように、ゲーム研究で培った知見を実世界の課題解決につなげてきた歴史を強調しています。同社はFenris Creationsのほか、Hello GamesやCoffee Stain Studiosなど複数のゲームスタジオとも研究協力を続けており、今後も知見の共有を続ける方針です。