AIリテラシー格差が世界の不平等を深める

計算資源の集中

クラウド輸出の87%米国が占有

スキル格差

高度AI技能は高学歴層に集中
成人の基礎技能は4割止まり

新興国の取り組み

南アフリカがAI政策案を撤回
AI生成の架空引用が発覚
インドネシアは実用AIを整備
10万人のAI人材育成目標
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AIが日常のインフラに組み込まれる一方で、その恩恵を享受できる国と取り残される国の差が広がっています。IEEE Spectrumは2026年7月29日、デジタル包摂の専門家ダニカ・ラドヴァノヴィッチ氏の論考を公開し、AIリテラシーの格差が世界的な不平等の新たな分断線になりつつあると指摘しました。計算資源、スキル、統治のいずれの層でも、AIを形づくれる側と適応するしかない側の分断が深まっているといいます。

最も鮮明なのが計算資源の一極集中です。スタンフォード大学の2026年版AI Indexによると、米国だけで5000を超えるデータセンターを抱え、他のどの国の10倍以上に達します。世界銀行のデータでは、2023年のクラウドおよびデータ保管サービス輸出の約87%米国が占め、多くの国はAI開発を商業的にも地政学的にも外部へ委ねる構図になっています。

スキルとAIリテラシーの偏りも深刻です。OECD諸国でも基礎を超えるデジタル問題解決能力を持つ成人は約4割にとどまり、AI関連の研修受講率は高等教育修了者の36%に対し中等教育層は18%と、教育水準で大きく分かれます。格差の不利な側に立つ人々は、AIを使いこなす道具ではなく、自分に一方的に作用する不透明な仕組みとして経験しがちです。

統治の現場では課題と可能性が入り混じります。南アフリカは2026年4月に国家AI政策の草案を公表しましたが、学術引用の少なくとも6件がAIによる架空の出典だと判明し、数日で撤回に追い込まれました。一方インドネシアは、衛星データで漁場を探すアプリやジャワ語などの多言語モデルといった実用重視のAIを整備し、年10万人のAI人材育成を掲げています。

筆者が投げかけるのは、AIを誰が形づくり、誰が適応するだけなのかという問いです。技術競争は速さだけでなく変化の方向を左右できるかどうかで決まると論じ、意味ある参加を世界へ広げられるかが問われていると結んでいます。経営者や技術者にとっても、自社のAIが参加の幅を広げるのか狭めるのかを問い直す視点が重要になります。