AIモデルの重み狙う新型ランサム、Langflow経由で侵入
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セキュリティ企業Sysdigは2026年7月、インターネットに露出したLangflowサーバーを狙い、AIモデルの学習済みデータを破壊する新型ランサムウェアENCFORGEを確認したと報告しました。攻撃者は同一のサーバーに二度侵入し、一度目は場当たり的な破壊、二度目にこの専用マルウェアを展開しています。狙いは身代金の獲得ではなく、復旧が困難なAI資産そのものの破壊でした。
ENCFORGEはGo言語で書かれたコンパイル済みバイナリで、約180種類のファイル形式を探索します。標的にはPyTorchやTensorFlowのチェックポイント、Hugging FaceのSafeTensors、ローカルLLMで広く使われるGGUF形式、FAISSのベクトルインデックスなどが含まれ、いずれもAI開発に固有の資産です。無差別に暗号化する一般的なランサムウェアと異なり、AIモデルを名指しで狙う設計だとSysdigは指摘しています。
被害が深刻なのは、学習済みモデルが通常のバックアップでは元に戻せない点にあります。Sysdigは、実運用可能なファインチューニング済みモデルの復旧費用を7万5000ドルから50万ドルと試算しており、これはモデル1つあたりの金額です。しかも最初の攻撃では暗号鍵が保存されず、身代金を払っても復元できない「消去型」だったといい、支払いにも意味がありませんでした。
今回の攻撃で注目されるのは、AIエージェントが人手をほとんど介さず短時間で侵入経路を組み立てた点です。マルウェア本体の取得に失敗すると、エージェントはLangflow経由で6つのPythonスクリプトを次々と修正しながら生成し、わずか5分あまりでDockerソケットからホストOSへ抜ける経路を確立しました。標的の選定など起点には人間が関与したものの、その後の実行はほぼ自動で進んだとされます。
根本原因は、既知の脆弱性が長期間放置されていたことです。悪用されたCVE-2025-3248はCVSS値9.8の深刻な欠陥で、CISAが2025年5月に警告し修正版も公開済みでしたが、侵入されたサーバーは14カ月以上未対応のままでした。露出したLangflowインスタンスは世界で約7000台に上るとされ、モデルの保存先をバックアップ計画に含める、Dockerソケットを分離する、認証情報を速やかに更新するといった基本的な対策が改めて求められます。