W杯スターのAI偽動画、ファンが娯楽として受容
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米メディアWIREDは2026年7月7日、開催中のサッカーワールドカップを舞台に、ノルウェー代表エルリング・ハーランド選手らを題材としたAIディープフェイクがインターネット上で急速に拡散していると報じました。飲食店で自分の姿に驚くハーランド選手の動画は、X上でわずか数日のうちに3100万回を超えて再生されましたが、実際には本人ではありません。ファクトチェッカーは、この映像が中国の芸人ジン・ロンによるコントを加工したものだと突き止めています。
注目すべきは、偽物だと訂正された後も動画が拡散し続けた点です。記事は、スターの条件が「自分の画像を厳格に管理すること」から「AIが宣伝を代行したくなるほどミーム化しやすいキャラクターであること」へと変化していると指摘します。有名人は本人と緩くつながるだけの、いわばオープンソースのキャラクターになりつつあるのです。
この現象の背景には、スポーツファンの楽しみ方の変化があります。選手はハイライトや試合後インタビューだけでなく、独自の口ぐせや物語を持つキャラクターとして消費されるようになりました。AIスポーツ企業WSC Sportsの調査では、特にZ世代はチームよりも個々の選手に強い一体感を抱く傾向が示されています。
選手がキャラクター化すると、ファンは単なる観客ではなくなります。作品の余白を埋めるファンによる創作は今やAIと相性が良く、本人がいなくても観客が需要に応じて物語を生み出せるようになりました。フランス代表ムバッペ選手を独裁者に見立てた「Dictator Mbappé」など、同様のAIミームは今大会で急増しています。
こうした流れは決して新しくありません。2021年のトム・クルーズのディープフェイクや、2023年にドレイクらを模したAI楽曲、バレンシアガのローマ教皇画像など、好意的に受け入れられた前例があります。記事は、旧来の有名人経済がスターへのアクセスに依存していたのに対し、新しい経済は物語を続けたい観客の意欲だけに支えられていると結んでいます。