Sakana AIが8時間自律調査エージェント発表

Marlinの概要

初の商用製品Marlin
肩書きは仮想CSO
最大8時間の自律推論
100ページの戦略報告書
対象は企業・金融・調査機関
従量課金は1回100クレジット

技術と背景

探索基盤AB-MCTS採用
複数LLMを動的に使い分け
推論時スケーリング重視
創業者Transformer論文著者
評価額26億ドル
MUFGやCitiが出資
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東京拠点のAIスタートアップSakana AIは6月15日、初の商用製品となる自律型リサーチエージェントMarlin」を発表しました。秒単位で回答する従来型チャットボットとは異なり、最大8時間にわたり自己統治的な推論ループを継続し、引用付きで100ページ規模の戦略レポートや役員向けスライドを生成する点が特徴です。同社はこれを「仮想CSO(最高戦略責任者)」と位置づけ、企業や金融機関、シンクタンク向けに提供します。

利用の流れは通常の大規模言語モデルとは根本的に異なります。ユーザーは調査テーマを与え、初回のすり合わせを経た後は作業から離れるだけで、Marlinが自ら仮説を立て、ウェブを調べ、複数の情報源を照合して因果関係を整理します。最終成果物は単なる文章の塊ではなく、要約スライドや付録、参考文献を備えた構造化された戦略オプション群として届けられます。

中核を担うのは、同社が独自に研究してきた探索エンジンAB-MCTS(適応的分岐モンテカルロ木探索)です。研究を可能性の分岐ツリーとして扱い、行き詰まりが見えた局面では新たな仮説を生む「探索」へ、有望な解には監査と改良を重ねる「活用」へと、外部フィードバックに応じて動的に切り替えます。さらに各サブタスクで最適なモデルを選ぶマルチLLM方式へ拡張し、複数の基盤モデルを集合知として組み合わせている点が商用化の鍵となりました。

料金は段階制で、従量課金は1回の実行に100クレジット、追加クレジットは1点98円です。月額15万円のProプランは2,000クレジット、月額40万円のTeamプランは6,000クレジットを含み、大企業向けには個別見積もりのEnterpriseも用意されています。顧客データはオプトイン同意がない限りモデル学習に使わない厳格な方針を掲げ、M&A;や未公開戦略を扱う企業の懸念に配慮しています。

Sakana AIは2023年に、Googleの2017年論文「Attention Is All You Need」の共著者で「Transformer」という語を生んだLlion Jones氏と、元Google Brain研究者のDavid Ha氏が東京で共同設立しました。巨大な単一モデルに頼るのではなく、魚の群れのような小型で専門特化したモデルの協調を志向する設計思想を掲げ、推論時スケーリングで実績を重ねてきました。

2025年後半には評価額26億ドル超に達するシリーズBを実施し、NvidiaGoogleに加え、MUFGやCiti、Salesforceといった大手が出資しています。約300人の専門家が参加した4月からの非公開ベータでは、「想定していなかった切り口を発見した」との評価も得ました。AIの価値が速さから思考の深さへ移る中、Sakanaの動向は今後も注目されます。