家事動画がロボット訓練データに、新ギグ経済が急拡大
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ロボットに家事を教えるため、人間が一人称視点で日常作業を撮影する「エゴセントリックデータ」の収集が新たなギグワークとして急速に広がっています。投資家の推計では、主要AI企業が今後数年で数億時間分のデータをサードパーティから購入する見通しで、Kled、Waffle Video、Luelなど複数のプラットフォームが米国を中心にデータ収集者を募っています。
米WIREDの記者が実際に3つのプラットフォームで1週間家事を撮影したところ、合計報酬はわずか21.55ドルでした。プラットフォームごとに時給換算で6.60ドルから25ドルまで報酬に大きな開きがあり、米国の連邦最低賃金7.25ドルを下回るケースも存在します。不正動画の排除やプライバシー保護も課題で、Kledはナイジェリアから撤退を余儀なくされました。
一方、シリコンバレー発のHuman ArchiveはUCバークレーとスタンフォードの学生4人が創業し、Wing Venture Capital、Y Combinatorなどから820万ドルを調達しました。インドの家事代行サービスと提携し、作業員にカメラ付きキャップを装着させて一人称動画を収集する仕組みで、現在1000台超のヘッドセットを稼働させています。
Human Archiveの特徴は映像データだけでなく、触覚グローブや全身モーションキャプチャスーツ、手首カメラなど複数センサーのデータを同期収集できる点です。これにより映像単体より高付加価値のデータセットをAI研究機関に販売する戦略をとっています。
ただし労働者への報酬はインドで時給1ドルと低く、競合他社の2.63〜4.20ドルを大きく下回ります。インドのIT省がデータ収集における同意の仕組みやプライバシー保護の実態を調査に乗り出しており、同国のデジタル個人データ保護法との整合性が問われています。物理AIの訓練データ需要が拡大する中、労働条件とプライバシーの課題が業界全体の成長を左右する局面に入っています。