Amazon、AWS独自チップ事業が年商2兆円規模に
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Amazon CEOのAndy Jassy氏は9日公開の年次株主書簡で、AWSの独自半導体群が年間売上高2兆円規模に到達したと明らかにしました。NVIDIA依存からの脱却を進めるAWSが、自社設計のAI学習チップTrainiumやCPUのGravitonで大口顧客を囲い込む戦略が数字として示された格好です。Jassy氏は「事実上すべてのAIはNVIDIA上で動いてきたが、新たな転換が始まった」と宣言し、価格性能で勝負する姿勢を鮮明にしました。
最大の目玉はAI学習チップTrainiumの需要急伸です。最新世代のTrainium3は供給能力がほぼ完売し、稼働まで18カ月先のTrainium4ですら予約がほぼ埋まっているといいます。Jassy氏は独自チップ事業を独立会社として外販した場合、年商は5兆円規模に達すると試算しました。NVIDIAの前年売上高約32兆円には及ばないものの、追随者としての存在感を強く打ち出しています。
CPU側のGravitonも攻勢を強めています。Intelのx86に対抗する同製品は、EC2上位1000社の98%が利用するまで浸透しました。Jassy氏は2社から2026年分のGraviton枠を丸ごと買い取りたいとの打診があったと明かし、他顧客への配慮から断ったと説明しています。需要過多を公然と示し、価格性能で競合を引き離す構えです。
衛星通信サービスAmazon LeoもStarlinkの競合として前進しています。2026年半ばの正式サービス開始を前に、Delta Airlines、AT&T;、Vodafone、豪NBN、NASAなどから契約を獲得したと公表しました。さらに100万台規模の倉庫ロボットで蓄えたデータを産業・消費者向けロボティクス事業に転用する構想にも触れ、中長期の成長ドライバーを多角化する姿勢を示しました。
背景には、Jassy氏が2月に打ち出した2026年の設備投資30兆円規模計画への説明責任があります。過大投資との批判に対し、同氏はOpenAIとの契約だけで15兆円規模のAWS利用が確約されている点を強調しました。加えて「未公表を含め大型顧客契約が複数進行中だ」と述べ、需要の裏付けを並べて株主を説得する狙いがにじみます。バブル論を意識しつつも、少なくともAmazonにとっては実需が先行しているとの立場を鮮明にしました。