米陸軍が戦場向け独自チャットボット「Victor」を開発中

Victorの仕組み

実戦データで訓練したAIモデル活用
掲示板とチャットボットの統合型システム
電磁戦など専門知識を即座に検索可能
回答に情報源を引用し正確性を担保

軍のAI導入の現在地

国防総省がGenAI.milで採用促進中
Palantir経由でAnthropicが作戦立案に関与
自律兵器への利用を巡り企業と対立も
エージェント型AIがセキュリティ上の新課題に
詳細を読む

米陸軍が、実際の作戦データを基に訓練した独自のAIチャットボット「Victor」を開発していることが明らかになりました。陸軍の最高技術責任者アレックス・ミラー氏がWIREDに対しプロトタイプを公開し、ウクライナ・ロシア戦争などの実戦から得た教訓を兵士が即座に活用できるシステムだと説明しています。Victorは掲示板型フォーラムと「VictorBot」と呼ばれるチャットボットを組み合わせた構成で、500以上のデータリポジトリが投入されています。

Victorは陸軍の統合兵科司令部(CAC)内で開発が進められています。同司令部のジョン・ニールセン中佐によると、異なる旅団が別々の任務で同じ失敗を繰り返すことは珍しくなく、Victorはこの問題の解決を目指しています。将来的には画像動画を入力して分析できるマルチモーダル対応も計画されており、陸軍の公式情報にアクセスできる数少ないシステムの一つになる見込みです。

国防総省は2022年のChatGPT登場以降、軍事システムへのAI統合を加速させてきました。PalantirのシステムがAnthropicの技術を活用してイランでの作戦立案に使われた事例もあります。一方で、自律兵器や市民監視へのAI利用を巡り、AnthropicとPentagの間で対立が生じるなど、運用方針の議論も活発化しています。

専門家からはAI導入に伴うリスクへの懸念も示されています。新アメリカ安全保障センターのポール・シャレ氏は、AIモデルの追従性(sycophancy)が情報分析の場面で特に問題になりうると指摘します。さらに、チャットボットから自律的にソフトウェアやネットワークを操作するエージェント型AIへの進化に伴い、セキュリティ面の新たな課題が生まれると警告しています。Victorが成功すれば、大手AI企業と連携してさらなる高度化が図られる可能性もあります。